ライ麦畑でつかまえて あらすじ

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J.D.サリンジャーのライ麦畑でつかまえてのあらすじです。

 

このあらすじは、白水Uブックス、野崎孝訳を読んでのものです。

 

簡単にいうと

アメリカ東海岸の高校を退学させられた16歳の青年が、
まだ、そのことを両親に知られるまでの間の数日間(正確には土曜日から月曜日まで)
をニューヨークの街をさまよいつつ自分の居場所を探しながら
彼の身の回りに起きたことを自分の心情を交えて独特の口調で語っていくという話。

 


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ライ麦畑でつかまえて あらすじ

子供や無欲な人以外は、誰ともうまくやることが出来ず、
何をやっても逃げ出してしまう主人公、ホールデンコールフィールド。

彼の眼には社会や世間が何でも欺瞞と偽善に見えて
受け入れることが出来ない。

4校目の退学が決まり、クリスマス休暇を前にしたある土曜日、
お世話になった先生のもとへお別れの挨拶に行くが、
途中で話を聞いているのが嫌になり
荷物の整理があるからと嘘をついて出てきてしまう。
学校の寮へ戻ると、
隣部屋のアクリーには読書の邪魔をされ
同室のストラドレーターとは些細なことで取っ組み合いの喧嘩になり、
血まみれになってしまったホールデンは、孤独の果てに
水曜日まのクリスマス休暇を待たずして学校に別れを告げて出ていく。

寮の廊下で、

「ガッポリ眠れ!低能野郎ども!」

と叫んで・・

 

その日(土曜日)の夜は、ニューヨークの安ホテルに
部屋を取ったが、
そのホテルは奇怪な人物ばかりが多く宿泊していることで
また気が滅入ってしまったホールデン。

以前パーティーの時に
知り合った男に電話番号を教えてもらったニューヨーク在住の見知らぬ女性に
電話をして誘い出そうとするが断られてしまう。
今度は、ホテルのラウンジへ行って、女性をダンスに誘ったり、
タクシーで昔よく兄のD・Bと行っていた
グリニッジビレッジのナイトクラブへピアノの演奏を聴きに行って、
兄の昔のガールフレンドにあったりするが、
中々折り合うことが出来ず、ホテルへ戻ってくる。
ホテルへ戻ると、
エレベーターボーイに売春婦を買わないかと持ち掛けられ
承諾する。
だが、実際にホールデンの部屋に女が現れると、
性欲が全く湧かずに、女は帰ってしまう。
しばらくして、エレベーターボーイと女がホールデンの部屋に戻ってきて
ショートは10ドルの約束なので、
あと5ドル足りないからよこせとホールデンに攻めよる。

ホールデンは泣きながら抵抗したが、
なす術もなく、お金を取られてしまう。
金をとられたエレベーターボーイに向かって

「きたならしい低能野郎さ。間抜けで低能なかたり野郎だ。あと二年もしてみろ。骨と皮とばかしになって、
通りすがりの人からコーヒー代をめぐんでもらうおうになってるから。
きたねえどろどろのオーバーを洟(はな)だらけにして、おまけに・・・」

といったところで、みぞおちにパンチをくらって床に転がったまま
相手は出て行ってしまう。

 

日曜日の午後には、
幼なじみで美人ののサリーとブロードウェイの演劇を
観に行く約束をするが、
ホールデンは、ショーの途中に割り込んできた大学生の男や、
ショーの内容にケチをつけたのでふたりの雰囲気が悪くなり始めた。
その後、ふたりはラジオシティにアイススケートをしに行くが、
ふたりともスケートが下手だったので、
早々に切り上げ、バーに入って
飲み物を飲みながら、ここでも些細なことから言い合いになってしまうが、
ホールデンは、彼の考えに同調しないサリーに対して、

「さあ、ここを出ようや」

「正直いって僕は、君と会ってるとケツがむずむずするんだ」

激高したサリーに何度も謝るも受け入れてもらえない状況で、
今度はホールデンは、阿呆みたいにでっかい笑い声で、
笑ってしまった。
そのことにさらに怒ったサリーは、
ホールデンは家まで送るということを受け入れず、
ひとりで帰ってしまった。

「実を言うと、どうして彼女を相手にあんなことを言い出したのか、自分でもよくわかんないんだ。~
僕はきっと気違いなんだと思うよ・・・」

以前の学校の3つ上の知り合いである「カール・ルース」に
電話をして、夜の10時に54丁目のバーで待ち合わせをして
現在付き合っている女のことなどを聞こうとするが
相手にされない。

 

「きまってるじゃないか。おまえの頭はまだ未熟だもの」

カール・ルースは
以前にも勧められた、精神科医に精神分析してもらうことを
再度勧めて、カール・ルースは帰って行った。

「もう一杯だけ飲んで行けよ」

「お願いだ。僕はひどく寂しいんだよ。嘘じゃないんだ」・・・

ひとりバーに残されたホールデンは
しこたま酔っぱらってしまい、ずっと気になっていたセントラルパークの南にある
潟(かた)の家鴨(あひる)が冬の間はどうなっているのかを見るために
夜中のセントラルパークを訪れるが、
潟は半分は凍っていて半分は凍っておらず、
家鴨の姿は一羽も見当たらなかった。

 

あまりに体が震えるので、
ホールデンは自分がこのまま肺炎になって死んでしまうのではと
思った。
そして死んでしまう前に自分のよき理解者である
妹のフィービーに会いに、
自宅へ戻る。
アパートメントに戻って、両親に見つからないように
忍び足でフィービーの部屋に戻って、
もうすでに寝ていたフィービーを起こして、
いろんな話をする。

 

フィービーはホールデンに会えてとても喜んだが、

本来なら水曜日に帰ってくるはずなのに、
何故今日帰ってきたのかとホールデンに質問し、
感の良いフィービーは、
ホールデンがまた学校をクビになったのではないかということを悟る。

「追い出されたんだわ!そうよ、きっと!」

「パパに殺されちゃうわよ!」

「ああ、兄さんたら、どうしてそんなことをしたのよ!」

 

ホールデンは、いかに自分が通っていた
ペンシー高校がインチキ野郎の集まりだったかをフィービーに説明するが、
フィービーは、

 

「兄さんは世の中に起こることが何もかもいやなんでしょ」

「兄さんはどんな学校だっていやなんだ。いやなものだらけなんだ。そうなのよ」

 
フィービーに対して世の中で好きなものは何かを聞かれてひとつも答えることが出来ず、
苦し紛れの言い訳をしていたホールデンだったが、
一方でその時には別のことを考えており、

 

「僕が何になりたいか教えてやろうか」

「とにかくね、僕にはね、広いライ麦の畑やなんかがあってさ、そこで小さな子供たちが、
みんなでなんかのゲームをしてるところが目に見えるんだよ。

何千っていう子供たちがいるんだ。

そしてあたりには誰もいない—誰もって大人はだよ—-僕のほかにはね。で、僕はあぶない崖のふちに立っているんだ。

僕のやる仕事はね、誰でも崖から転がり落ちそうになったら、その子をつかまえることなんだ。—
つまり、子供たちは走っているときにどこを通っているかなんて見やしないだろう。

そんな時に僕は、どっからか、さっととび出して行って、その子をつかまえてやらなきゃならないんだ。

一日中、それだけをやればいいんだな。

ライ麦畑のつかまえ役。そういったものに僕はなりたいんだよ。

馬鹿げてることは知ってるよ。

でも、ほんとうになりたいものといったら、それしかないね。馬鹿げてることは知ってるけどさ。」

自宅のアパートメントを出ると、ホールデンは
自宅から電話をしておいた「アントリーニ先生」宅を訪問する。
ホールデンは
アントリーニ夫妻に歓迎されたが、
ここでも、なぜ学校を退学になったのか、自分の将来のことについて
のアドバイスを受ける。

 

とても疲れていたホールデンはしまいに途中であくびをしまったので
その夜は寝ることになった。

 

ホールデンが夜中に目を覚ますと
アントリーニ先生がホールデンのそばの床に座っており
ホールデンの額を撫でていたのでホールデンはびっくりして飛び起きた。

そして逃げるようにして、アントリーニ先生宅を飛び出し
グランドセントラル駅の待合室で朝の仮眠をとった。
朝の9時にもなると待合室には人が溢れてきたので
これ以上そこで眠れなくなったホールデンは、マンハッタンを北へ
歩き出す。

 

歩いている途中で何度も消え入りそうになりながらホールデンは
どっかに行ってしまおうと決心する。
二度と家には帰るまい。
二度と学校へも行くまい・・・と。
そして、幸いの妹であるフィービーにそのことを告げて
お別れをするためにフィービーの学校へ行って、
人伝手に呼び出しの手紙を渡す。
待ち合わせ場所に来たフィービーは、
大きなスーツケースを持っており、自分もホールデンと一緒に
旅に出るといってきかない。
木馬に乗っているフィービーを幸せな気分で見ているところで
物語は終わる。

ホールデンは現在西海岸で次学校へ行くまでの間、
精神科医の分析を受けたりしながら療養中であり、
この話をしたことを後悔していると告白して、
この話に出てきたアクリーやストラドレーターがいないとなんだか物足りないと話して話が終わる。

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